銀座帰りは町中華

7月に入ったあたりから、毎日が本当に飛ぶように過ぎていく。
幼稚園の短縮保育で子どもが家にいる時間が長いからなのか、畑で野菜がとれすぎてしょっちゅう調理に追われている(&収穫にも行く)からなのか、はたまた他の理由か。
さっぱり分からないけれど、気づいたら7月が終わっていた。

夫が休みだったとある平日、長男のランドセル最終決定のため、銀座へと出かけた。
そろそろ決めようとしていた時期に急に新しい候補が出てきて、そちらを見極めてから最終決定しよう、となったのだ。

午前中で既に耐えがたい猛暑の中、電車を乗り継いでようやく銀座に到着。
三越でまず目当てのランドセルを試着し、さらに移動して前に一度見たメーカーのお店をはしご。
最終的には全く違うタイプの二択になって、どちらも甲乙つけがたく、ひとまず午後の予定があるので、どこにも寄らずまたすぐに電車に乗った。

この日はせっかく家族で出かけたので、午後の予定の前に、お昼ごはんは外で食べることにしていた。
この間たまたま見たテレ東の「ザ・タクシー飯店」で出てきたお店を、私が予めリサーチしておいたので、そこへ行ってみることに。

典型的な町中華という感じのお店。
チャーハン数種類、麺類各種、ギョーザ、揚げ物、基本的なメニューは全てあって、バリエーションも豊富。
どれもこれもおいしそうで迷いに迷った末、子どもたちは間違いないチャーハン系、大人たちはそれぞれ好みの麺類をオーダーした。
私は「初めて入った町中華にあったらほぼ必ず頼んでしまう」麻婆麺。

麻婆麺は優しめの味で、ちょっと食べたいというので分けてあげた長男も「辛くない、おいしい!」と気に入っていた。

隣のテーブルも四人家族で、子どもは小学生らしき兄弟。
テーブルに乗り切らないくらいたくさんのお皿がところ狭しと置かれていて、「数年後うちもあぁなるんだね...」と夫とちょっと震えた。

気づけば銀座で写真は一枚も撮らず、町中華ばかり撮っていた、夏休みのとある一日。

大人と子ども、森へ行く②

寝不足で起きた朝は、みんなで豪華な朝ごはん。

ほぼすべて地元の市場やスーパーで買ったもので、到着二日目にして身体の組成が現地仕様に入れ替わっていく気がした。
こういうのが、旅の楽しさのひとつだ。

この日のメインは、森の中のBBQ 。

うちに6年もの間眠っていたスモーカーがあって、目覚めさせるいい機会なので、今回は燻製作りにも挑戦することにした。

燻製にも高温、中温、低温といろいろあるらしく、うちのスモーカーは中温しかできないタイプ。
そのままでも食べられる食材(チーズとかゆで卵とか)が主に向いているのだけれど、今回はスーパーにおいしそうなめざしが売られていたので、もしかしたらいけるんじゃないかと初挑戦。
最悪、火が通らなかったらBBQの炭火で焼けばいいので気楽に臨んだら、予想以上に成功で、夫も「これはリピートありだね!」と気に入っていた。

水分が少ない(でもゼロではない)食材というのがポイントなのかも。
これまで成功したのはチーズ、ゆで卵。
今回できなかったけれど、次は沢庵を燻していぶりがっこにする、というのにチャレンジしてみたい。

すっかりお腹いっぱいになったので、晩ごはんはおつまみ程度にして、なかなか買えない、まるまる一個のスイカをみんなでむしゃむしゃ。

イカを食べると、次男を産んだ二年前の夏を思い出す。
どこにも行かない盆休み - 珈琲とsofaのあるところ

もちろんそれまでに何度も何度もスイカを食べたことがあるけれど、なぜかあのときのスイカは特別だった。
まだ産まれない、まだ産まれないと毎日思いながら、陣痛を促すためお盆休みだった夫と長男と長めの散歩に出て、たくさん汗をかいた後のスイカだった。
今回のスイカは、思えばそれ以来のスイカなのだった。

最終日は、午前中みんなで荷造り&お掃除をして、作ってあったカレーでお昼を済ませ、ゆっくりと出発。
片付けてがらんとした部屋のロッキングチェアーで、ゆらゆら揺れながらぼんやりするひとときは、至福の時間だった。

大人と子ども、森へ行く①

三連休、ずぅっと前から楽しみにしていた、友人家族との初めてのお泊まり旅行へ。
ここへ来て爆発的に増えてきた感染状況に恐れをなし、直前数日は用心のため幼稚園を休ませて臨んだほど、夫が楽しみにしていた旅行なのだった。

行き先は、友人ご実家が所有する群馬の別荘。
連休初日の渋滞を警戒して、レンタカーで早朝に家を出発、休憩を入れつつ10時くらいには現地に到着した。

降ったり止んだりのあいにくのお天気ではあったけれど、一面の緑に目が癒されていくのが分かる。
音も静かで、地面を踏みしめる音や鳥の声、木々から落ちる雨滴の音に、私たちの話し声が吸い込まれていく。

まずは合流して軽く昼食を取り、二日分の買い出しへ出かけることになった。
この日の晩ごはんは、餃子とたこ焼き。
翌日にする予定のBBQの食材や炭、子どもたちが楽しみにしている花火、大人たちが楽しみにしている大量のお酒などなどを買い出したら、もう夕方が近くなっていた。

みんなでごはんの下ごしらえを済ませ、順々にお風呂に入ってから、餃子を包んでたこ焼きを焼いて。
早朝に出発したこともあって私の眠気はMAXだったけれど、ふわふわと楽しくて、すっかり夜更かししてしまった。

巡り巡る夏野菜

夏野菜がとれまくるので、近所のお料理上手マダムAさんにしょっちゅうお裾分けをしている。
時々それがおかずになって返ってきて、この夏は食卓が豊かだ。

この間は、逆にAさんが「畑をやっている知り合いから安く買っているから、よかったらどうぞ」と、枝つきの枝豆をくれた。
枝豆好きの長男は大喜び。

せっかくなので、枝から外すところ、洗って鞘を少し切って塩揉みするところ、お湯を沸かして塩茹でするところ、すべて長男にやらせてあげた。
嬉々として手伝う長男。
茹でたての枝豆は止まらないおいしさで、夫が帰ってくるまでにほとんどなくなる勢いだった。

そんな中、実家から待望の水ナスの糠漬けも到着。
フルーツみたいなみずみずしさで、一個ぺろりと食べられてしまう。

旬の野菜が人から人へ巡る。
たくさんのエネルギーをもらう夏。

マーヴェリック

午前中いっぱいかかる予定だった所用があっけなく終わり、突然の潤沢な一人フリータイムが発生した。
予定では、用事のあと一人ランチ、延び延びになっていた免許証の更新、その後少しだけフリータイムがあったあと、家にいる夫が子どもたちを連れて合流、のち外食、という流れになっていた。

そのフリータイム部分が大幅に増加。
この日は新宿まで出ていて合流も新宿だったから、一度家に戻るわけにもいかない。
かといって、年に一度あるかないかの、降って湧いたまとまった一人時間をただつぶすのはもったいなさすぎる。

というわけで、頭の中で素早く予定を組み換えた。
とにかく免許更新をいち早く済ませて、そのあと見られそうな映画をリサーチ。
うまくいけば『トップガン・マーヴェリック』か『ベイビー・ブローカー』が見られる。

初めて行く西新宿での免許更新は幸いサクサク進み、受付から出るまで一時間くらいで終わった。
どちらの映画にも間に合う時間だったので迷ったけれど、やっぱりここはせっかく映画館で見るのだからトップガンでしょう!
ということで、期せずしてトップガンを観てきたのだった。

いや~、良かった。
なんかもう、すべてが懐かしかった。
トップガンに特別思い入れがあったわけではないし、そもそも前作の内容はほぼ忘れていたけれど、前作を初めて見た中高生の頃のことを思い出した。
リアルタイムで見ていたわけではないから、ビデオやTV放映で何度か見たのだと思うけれど、80~90年代の空気感や、自分がそれを見ていた時代を思い出したというか。
トップガン・マーヴェリック』自体が、前作の出演者がそのまま年を取った設定で出てくるから、彼らと記憶を共有しているような、あの時代の空気を共に知っているような、錯覚に陥るのだ。
トム・クルーズジェニファー・コネリーも、アイスマン役の人(名前は知らない)も、昔よく見た俳優たちが出てきた時点で、(たとえがショボいけど)織田裕二とか江口洋介とか鈴木保奈美とか、安田成美とか吉田栄作とか加勢大周が同窓会で顔を合わせたのを端から見てる...みたいな強烈な懐かしさがあった。
西日を効果的に使った飛行場の映像もあいまって、今風に言うととにかく「エモい」のだ。

「有無を言わせぬ実力で周りを味方につけるヒーロー vs 苦虫を噛み潰す上官」とか、「んなアホな」というぐらい都合よく味方が窮地を切り抜ける展開とか、アメリカ映画らしいテイストにも溢れていて、あぁ、そうそうこういうのが欲しかったんだよ!という気持ちになった。
ミニシアター系ヨーロッパ映画のテイストもずっと好きなのだけれど、今はこれ、この馬鹿ほどお金がかかってそうな、戦闘機とか平気で炎上させるような、こういうスカッとしたアメリカ映画が観たかったんだよ!と。

爽快な気分で映画館を出たら、しばらくして夫と子どもたちがやってきた。

この日は夫の仕事のちょっとした節目で、「景気づけにおいしいものを食べに行きたい」というので、最近長男が食べたがっていたお寿司を食べに行くことに。
ちょうど「映画の半券を見せるとワンドリンク」というサービスをやっていて、ラッキー!とさっき見た半券で生ビールをGETした。
夫が「何観たの?」と訊くので「フッフッフッ...」と半券を見せると、「え!!トップガン観たの?!マジで?」となぜかえらく妬まれた。
知らんがな(笑)

五年ぶりに免許を更新して、爽快なアメリカ映画を観て、家族でお寿司を食べた、夏の一日。

夏野菜が渋滞している

梅雨が明けると夏野菜たちがますますすごい勢いになり、連日なす、きゅうり、ピーマン、万願寺とうがらしと格闘する日々。
特にきゅうりは消費が追いつかず、酢の物はもちろん、梅肉かつお節あえ、中華風ピリ辛漬け、炒めものに冷麺(冷やし中華)と、毎日何かしらの形できゅうりを食べない日はない。

先日母親からメールが来て、「今年も水なすの漬物を送った」とのこと。
「待ってて良かった~!」とひと安心。
というのも、毎年水なすが浸かっているぬか床を再利用しているのだけれど、今年はなかなか来ない間にきゅうりとなすがあまりにも採れまくるので、美味しいと評判の無印のぬか床を買ってしまおうかどうしようか、迷っていたのだ。
だいたい毎年母親が送ってくれるものの、こちらから催促するのもちょっと気が引けて聞かないうちに、あっというまにぬか漬け最盛シーズンに突入してしまったのだった。

先日は義母が来て、「大量にもらったから」と、きゅうり、ズッキーニ、じゃがいも、いんげんをお裾分けされた。
Oh, またまたきゅうり...。
その翌日、畑に様子を見に行くと「今日いんげんがとれるから」と畑のおじさんに声をかけられ、これまた大量のいんげんを収穫。
田舎に住んでいた姉が「野菜は採れる時期が重なるから、もらうときはほんとにあちこちから大量にもらう」と言っていたのをひしひしと実感。
「ご近所にお裾分け」なんて、人づきあいほのぼのエピソードだと思っていたけれど、そんなもんじゃない。
ただただ「食べ物を無駄にしたくない!誰かもらって!」という切実な問題だったのだと、四十半ばにして思い知る都会っ子であった。

冷麺冷やし中華問題

関西出身の私と関東出身の夫。
時々何かで、お互い譲らない呼び方がある。

「今日マクド行ったらさぁ...」
「マックね」
「いや、マクドな。ほんでマクド行ったらめっちゃ混んでて...(夫がまだ「マックね」と言い張ってるけどうざいので無視して話を進める)」

とか、

「まるくん、回転焼き食べる?」
(横から夫)「今川焼きでしょ」
回転焼きやで、朝ドラでも回転焼きって言ってるで」
(息子)「かいてんやきたべる!」(よし!←私の心の声)

とか。

夏になるとたびたび繰り広げられるのが、「冷麺/冷やし中華」問題。
東京に来たあたりから薄々気づいてはいたけれど、「冷麺」と言うと、なんと関東では100%「汁ありタイプ」になってしまうのだ。

汁のない、上にキュウリやトマトやハムや卵焼きが乗っている冷たい麺(要するに冷やし中華)は、関西では「冷麺」。
結婚して最初に家でそれを作ったとき、「今日のごはんは冷麺ね」というメールを入れておいたら、帰ってきた夫が「あれっ、冷麺っていうから...これ冷やし中華じゃん」と言ったので「えぇぇぇ...!冷麺と冷やし中華って違うの!」となったのだった。

冷やし中華」と言われても別に違和感なく理解していたけれど、そういえば「冷やし中華」と自分で使うことはなかったと、このとき気づいた。
「じゃあ『冷麺』(汁ありタイプ)は何て言うの」と夫に聞かれ、「それも冷麺かな。強いて言えば韓国冷麺?」と答えたら、「何それ!ややこしいじゃん」と言われた。
確かに、言われてみれば。
でも、汁ありタイプを家で作ることは(私の小さい頃は)まずなかったし、汁ありタイプが出てくるとしたら焼肉屋さん限定なので、別にどっちも「冷麺」で問題なかったのだ。
焼肉屋さんに「冷麺」とあったら、「あぁあっちのタイプね」と思う。
(たぶん上京してから)ごくたまに、食堂的なお店で「冷麺」を注文して「汁ありタイプ」が出てきたときがあった気がするけれど、「あ~、そっちか~...!」とちょっとがっかりするだけで、深くは考えていなかった。
だから私の場合、「冷麺/冷やし中華問題」は結婚してからはっきり現れたのだった。

家で作るのは圧倒的に汁のないタイプ。
家では私は完全に関西弁だから、そのときだけ夫に合わせて「冷やし中華」と言うと、なんとなく自分の言葉でない感じというか、取って付けた違和感がほんのちょっと感じられる。
それプラス、息子たちが将来「そういうこともある」と知っておくと、たとえば関西出身の人と話すきっかけになったりするだろう...などと考えて、今でも家では頑なに「冷麺」で通している。
夫はいつもブツブツ「冷やし中華ね」と言っているけれど(無視)。

写真は、少し前に渋谷で食べた「冷やし担々麺」。
ちょっとだけ汁が入っている。
これは冷麺の仲間なのか。冷やし中華の仲間なのか。
関西人なら考えることなく「冷麺」で済むけどね。