季節

桃と水ナスの結婚

毎年この時期に、夫の親戚が桃を送ってくれる。 行きつけの桃園から直送されてくる、箱いっぱいのピカピカの桃だ。関西育ちの私にとっては、桃はめったに食べられない高級フルーツ。 その稀少さのせいか、一番好きな果物はずっと桃だった。 桃といえば関西で…

絵本をひらけば雪の日

今朝は起きたらすごい湿気で、耐えきれず朝からエアコン。 「涼しくしたから早く起きといでー」と長男に声をかけると、「きょうはまるちゃん、あついからまたよるゴロゴロしちゃったよー」と言いながらすんなり起きてきた。 最近長男は、シーツの冷たいとこ…

ゆりの匂いと、春の葬儀

部屋中にゆりの花の匂いがしている。 知り合いがボランティアで管理する花壇に、いつだったか息子を誘ってもらって植えた球根が花を咲かせ、せっかくだからと何本かを切ってくれたのだ。ゆりの花の匂いを嗅ぐと、いつも思い出す悲しい別れがある。大学で同期…

匂いはタイムカプセル

朝夕、幼稚園バス停までの送迎に蚊が出るようになった。 去年までは虫除けスプレーで対処していたけれど、そういえば夏の終わりに雑貨屋さんで携帯蚊取り線香を買ったのだった、と思い出した。 小さい渦巻きが入れられるサイズの、ベルト通しなんかにぶら下…

家族の風景

幼稚園バス停の行き帰りに通る道に、大きな枇杷の木がある。すごくたくさん実がなる木で、これが枇杷の木であることに去年気づいて以来、とりたいなぁと思い続けているのだけれど、とるには枝が高すぎる。 毎日長男と見上げては「とりたいねぇ。とれないねぇ…

入園して一年

年中になった長男の個人面談があった。年少のときの担任二人のうち一人が今年も受け持ってくれているので、去年からの成長をいろいろと教えてくれた。 去年指摘された課題(自分の思い通りにいかなかったときの行動)が改善されて、「すごく成長しました」と…

思い立ったが吉日

またもや緊急事態宣言。 去年末に出されたときはそれほど街の様子も変わらなかったからか、「緊急事態宣言って結局なんだっけ?」との思いが拭えない。 灯火管制といい、無観客営業といい、今に始まったことではないけど、もう滅茶苦茶すぎて何も言う気にな…

新緑とちぎりパン

あっというまに新緑。三月に桜、四月に新緑。 明らかに季節が暦と合わなくなっていく。タンポポの綿毛を見ると、去年、入園したての幼稚園が6月まで休園になって、家とその周辺だけで過ごしていた日々を思い出す。 綿毛を見つけると手当たり次第に採って吹い…

早春富山旅③

水族館からまた別のコミュニティバスに乗り、お隣の滑川市にあるホタルイカミュージアムへ。 夫が見つけてきた、この時期だけのイベント「ホタルイカの発光ライブショー」があるのだ。着いたところで、まずは遅めのお昼ごはんで腹ごしらえ。 この時期限定の…

早春富山旅②

朝食後、旅館の送迎バスに乗って魚津駅へ。魚津はあるモノで有名な町らしく、あちこちでそれが推されている。このあと乗る予定の地元のコミュニティバスを見ていたら、運転手さんが「これ、魚津のキャラクター。ミラたんっていうの」と教えてくれた。曰く「…

嘘をつくセンス

エイプリルフールになると、毎年思い出すことがある。 まだ学生の頃。 私は嘘をつかれた方で、見事にすっかり騙されたのだけれど、それが嘘だと分かってとてもとても嫌~な気持ちになった。 私ともう一人、同時に騙されたけっこう年上の友人がいたのだけれど…

すいそんさんかくしゅきのかぜ

中3だったか高1だったか、漢文の授業で習った漢詩を、春になるとよく思い出す。 「江南(こうなん)の春」という、春の情景を描いた詩。 何度も音読させられたのと、 習ったのが春、ちょうど3月頃で、授業で解説された情景のイメージがずっと記憶に残って…

はなむけ

生まれたときから我が子のように可愛がってきた甥っこが、春から大学生になる。 「いつまでも見ていられる...」と、赤ちゃん布団の横に貼り付いて寝顔を見ていたあのときから18年が過ぎたとは、にわかには信じられない。親元を離れて一人暮らしをする甥っこ…

小さな卒業

長男がまだ0歳の頃、時々行く児童館があった。 引っ越してからは少し遠くなってあまり行かなくなったのだけれど、年少さんまでという年齢制限があり、4月になるともう行けなくなってしまうので、最後の思い出として、春休みに入ったばかりの長男を連れて出か…

開花状況

3/17の桜。去年も確か早かったけれど、今年の桜は本当に早い。 翌3/18にはまた少し開花。そして今朝、3/22の桜。 もうすっかり八分咲といったところ。この調子だと、3月中には散ってしまうだろう。 ケータイ(スマホ)を近々変えることになった。 結婚して以…

しゃべり倒したい

久しぶりの人たちと、対面で会う機会。 時節柄会食はナシなので、用事が終わってから、一人遅めのランチへ向かった。少し移動して神楽坂へ。 なんとなく足が向いて、赤城神社のカフェでお昼を食べることにした。 五年ぐらい前はちょくちょく来ていた、私にと…

BROTHERS

次男の歯が生えてきた。 そのことに最初に気づいたのは、なんと長男だった。「ママー!ふくちゃんのおくちのなかに、しろいやつがでてきてる!」 なになに、何の話だ? 急いで長男について行くと、「ほら、ここ!は、みたいなやつ!」と次男の口の中を指差す…

逃げる2月

2月最後の登園日、息子が持ち帰ってきた製作物。「ママに、プレゼントだよ。おだいりさまと、おひなさま!」 バスを降りて手を繋ぐひまさえもどかしそうに、持ち帰りの袋をパカッと開けて見せるのだった。あっという間に過ぎ去っていく、2月。

おばあちゃん先生を想う春

三寒四温。梅が咲き、花粉が飛び始めたと思ったら、夜はしんしんと冷えて、朝は立派な霜柱が立っていた。 いつもより10分早く家を出て、息子と霜柱を踏みまくりながらバス停へ向かう。先週から怪しかった花粉センサー(私の鼻)がついに危険域に入り、くしゃ…

バレバレバレンタイン

今年は日曜日だったバレンタインデー。 毎年何か用意するわけではないけど、今年は息子も4歳でだいぶ物心がついてきているし、幼稚園もお休みの日なので、遊びがてら一緒にチョコレートケーキを作ってみることにした。いつも行くスーパーで前もって手作りキ…

同時多発する春

霜柱を見つけて、いつもより早めに息子を連れて踏みに出かけた朝。その翌日、息子を送りに朝外に出た瞬間、マスク越しにでもはっきりと春の匂いがした。 「立春」の言葉通りだ...と思っていたら、その日に今年初めてベランダの梅が咲いたのを発見した。その…

ゆきのひ、ココア

そろそろ園バスのお迎えの時間。 しばらく前から雨が降り始めた音がしていた。 場合によってはレインコートを持ってお迎えに行かないとな、どのくらい降っているか見てみようと窓を開けたら、まさかの雪になっていた。レインコートを持って、バスのお迎えへ…

ヒュウゥンの道

朝晩、吐く息が白くなってきた。スーパーからの帰り道、よく通る道がある。 信号をひとつショートカットできるので通るのだけれど、最初がちょっとだけ急な下り坂になっていて、そこを息子と「ヒュウゥンの道」と呼んでいた。「今日、ヒュウゥンの道通る?」…

ナビゲーション感覚

とうとうと言うかやっとと言うか、東京に二回目の緊急事態宣言が出た。近場で過ごす1月の三連休。 そろそろ用意しないとと思っていた、出産の内祝いをいくつか選びに出かけることにした。 ちょっと気の利いた雑貨が置いてあるお店が、自転車で行ける範囲に二…

大人の階段のぼる正月

コロナプラス乳呑み子がいる今年は、妊娠初期だった昨年に続き、自宅で年越しをすることに。結婚して六回目のお正月。 うち何度かは自宅以外で過ごしたけれど、なんと言ってもやはり、自宅で過ごすお正月が一番楽だと改めて思った。 親戚や友達と会うのも楽…

Don't miss the bus, please!

あっという間に12月も半ばを過ぎた。 まさに師走。すごい早さで時間が経っていく。 紅葉が遅れていた日陰の銀杏も、いつの間にかすっかり色づいて、そして散っていった。12月の幼稚園はほとんどが午前保育で、送っていったと思ったらすぐに帰ってくる。 子ど…

光浦靖子に叶えてほしい

光浦靖子に出版オファーが殺到しているらしい。先日の「もうひとつの人生を回収」のインタビュー記事が、大反響だったとか。 それはそうだろう。 その後、辛酸なめ子との独身に関する対談記事もあって、それも偶然読んだのだけど、これもまた、とても共感で…

匂いが足りない

マスク生活になって初めての秋。ある日の朝、園バスのバス停に向かう途中で、息子が「なんか、においがする」と言い出した。 「なんの匂い?」「なんか...におい」。マスクを外して鼻をくんくんしてみたら、はっきりと、秋の匂いがした。 いろんな葉っぱと湿…

いつものパンがないだけで

土曜日の寝る前になって、翌朝のパンを買い忘れたことに気がついた。 スーパーはもう閉まっているし、翌日は朝から夫がいないから、子どもを二人連れて朝からパンだけ買いに出る気にはなれない。 仕方なくいつもと違う朝ごはんにしたのだけれど、なんだかも…

2020秋、六本木

自分の目で実際その場で見てみたい展示会が2件、同じくらいの時期に開催されることを、つい先日SNSで知った。 どちらも行くのにそれなりに時間のかかる場所なので、1件だけ知ったときは諦めていたのだけれど、ちょうど家を出て帰ってくるまで一筆書きのよ…